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代償分割と換価分割の税務の違い(所得税編)(2021年6月2日)

今回は代償分割と換価分割の違いのうち、主に所得税に関して異なる点を解説します。

代償分割と換価分割の概要や相続税についての相違点は次のリンク先の記事をご覧ください。

目次

1.譲渡所得税と社会保険料

譲渡所得税と社会保険料は、もっとも大きな違いと言えます。

1つ目の違いは譲渡所得税と社会保険料に関することです。例えば、相続した不動産を売却する場合を考えてみましょう。

代償分割は特定の相続人(Aとします)が不動産を取得し、その代わりに他の相続人に金銭などの財産をわたす分割方法です。

代償分割で取得した不動産を売却した場合、譲渡所得税の対象になるのは不動産を取得した相続人Aです。また、相続人Aが国民健康保険や後期高齢者医療保険に加入している場合は、譲渡した年の翌年の社会保険料が増加する可能性もあります(相続人Aが会社員などで会社の健康保険に加入している場合は、譲渡により社会保険料が増加することは原則としてありません)

一方で、換価分割は不動産を売却した金銭を相続人の間で決めた割合にもとづいて分ける方法です。つまり、譲渡所得税の対象になるのは売却した金銭を受け取った相続人全員となりますし、社会保険料が増加する可能性も相続人全員に発生することになります。

代償分割で取得した不動産などの財産を売却する場合は、譲渡所得税や社会保険料の負担も考慮したうえで代償金の額を決定することで、より公平な遺産分割に近づけることができます。

もちろん、このあたりを考慮するかしないかは相続人同士で話し合って決めることですが、相続の場面では相続税のことに集中してしまい、その後に財産を売却した時の譲渡所得税などが抜けてしまうことも考えられます。

後々の相続人間のトラブルにつながらないように注意が必要な点といえます。

2.空き家の譲渡所得の特例

相続時の遺産分割にも関係する話です。

2つ目は空き家の譲渡所得の特例についてです。

この特例は、①被相続人が生前にお住まいであった自宅が相続により空き家となり、②その空き家を一定の条件を満たして売却をした場合に、③売却に伴う譲渡所得税の負担を抑えられるという内容です(制度の詳細は別の記事でも解説していますので、ここでは省略します)

代償分割で取得した不動産(相続により空き家となったもの)を売却した場合、空き家の譲渡所得の特例を利用できるのは、不動産を取得した特定の相続人だけです。

一方で、換価分割で取得した不動産(=不動産を換金して得た金銭)の場合は、相続人がそれぞれの取得割合に応じて譲渡所得税を負担します。一定の条件を満たした売却であれば、空き家の譲渡所得の特例も相続人ごとに利用できますので、代償分割に比べて譲渡所得税の負担を抑えられる可能性があります。

相続で取得した空き家を譲渡する場合は、
必ず検討してほしい特例です。

余談になりますが、空き家の譲渡所得の特例を利用するには、空き家となった土地と建物をともに相続で取得していることが必須です。土地だけ、または建物だけ相続で引き継いで、土地または建物だけ売却した場合は利用できないことになりますので、遺産分割には注意をしましょう。

例えば、相続人が2人いる場合は、相続人Aが土地、相続人Bが建物を取得するのではなく、相続人ABがそれぞれ土地と建物を2分の1ずつ取得するといった具合に遺産分割を工夫することで、空き家の譲渡所得の特例をA・Bそれぞれが利用できます。

この他にも空き家の譲渡所得の特例は条件がいくつもありますので、相続した空き家について売却を考えている場合は、早めに(相続税申告の段階から)税理士等にご相談することをおすすめしています。

3.取得費加算の特例

相続で取得した財産を売却した時の特例です。

3つ目は取得費加算の特例についてです。取得費加算の特例の概要については、次のリンク先の記事で解説していますのでそちらをご覧ください。

相続で取得した財産(不動産以外に株式なども可)を売却した場合に、一定の条件を満たしていれば、その財産を売却したことに伴う譲渡所得税の計算上、取得費加算の特例が利用できます。取得費加算の特例を利用することで譲渡所得税を抑えることができますが、代償分割と換価分割では利用できる方や計算方法が異なります。

代償分割の場合は、基本的には財産を取得する方(=その代わりに代償金を支払う方)が取得した財産を売却した場合にこの特例を利用することが想定されます。また、実際に取得費加算の特例を利用する際には、支払った代償金の額が計算に影響しますので注意が必要です。

換価分割の場合は、相続人がそれぞれの取得割合に応じて売却することになりますので、取得した相続人全員が特例の対象になります(もちろん、一定の条件を満たさなければ特例は利用できませんので、相続人別に条件を満たすかを判定していくことになります)

4.終わりに

代償分割と換価分割の違いを主に所得税の観点から確認してきました。

代償分割は財産を取得した特定の相続人に影響があるのに対して、換価分割は財産を取得したそれぞれの相続人に影響が及ぶことになります。

所得税の申告は相続税の申告より後になるケースもあり、相続の際になかなか所得税のことまで気が回らないという方も多いでしょう。

税理士は相続だけでなくその後の所得税のことも考えて、適切な遺産分割などのアドバイスが可能です。当事務所にも様々な事例が蓄積されていますので、ぜひご相談いただければと思います。

 

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