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遺産分割の3つの方法について(2021年5月10日執筆、2022年6月16日更新)

今回は遺産分割の方法について解説します。それぞれの分割方法のメリットや注意点をお伝えし、どのような場合に適するのかを紹介していきます。

目次

1.遺産分割とは?

遺産分割の意味を解説します。

相続が発生した後に、被相続人(お亡くなりになった方)が所有していた財産を相続人に分けることになり、被相続人の財産(遺産)を相続人に分けることを遺産分割と呼んでいます。

遺産分割の方法として、最もシンプルなものは、不動産Aは長男へ、不動産Bは長女へ、〇〇銀行の普通預金残高は次男へ…などのように財産の一つ一つについて、相続人のうち誰かがそのまま取得することです。

しかしながら、例えば相続財産として不動産が1物件しかなく、相続人が3人(長男、長女、次男)いる場合はどうでしょうか?

仮に長男が不動産を取得すると、長女や次男は財産を取得できません。

これは極端な事例なので、不動産の価値に見合う不動産以外の財産があれば、それを長女や次男が取得すればよいことになります。ただ、すべてのケースでそうとは限りません。

この記事のテーマである遺産分割の3つの方法を知ることは、相続人間でスムーズな遺産分割を行うことにつながりますので、ぜひ抑えておきましょう。

2.現物分割

最もシンプルな分割方法です。

1つ目の遺産分割方法は現物分割です。

現物分割は、先ほどお伝えした最もシンプルな方法です。具体的には、〇〇金融機関の預金は配偶者、不動産は長男、××証券会社の有価証券は長女、といった具合に一つ一つの財産をそのまま各相続人に分ける方法です。

不動産の持分を長男と長女が2分の1ずつ共有で取得するという分割も、遺産をそのまま分けるという意味では現物分割といえます(専門家によっては、共有分割として現物分割と区別する場合もあります)

現物分割のメリットは、相続人が取得する財産の内容がシンプルでわかりやすいことでしょう。反対にデメリットとしては、次の事例のように相続人が取得する財産の金額に偏りが発生する可能性があることです。

【事例】

  • 相続人は、長男、長女、次男の3
  • 相続財産は、不動産A1億円、B銀行の預貯金:1,000万円、C銀行の預貯金:1,000万円の合計12,000万円
  • 長男が不動産A、長女がB銀行の預貯金、次男がC銀行の預貯金を取得するものと仮定

上記の現物分割により、長男は1億円の財産を取得していますが、長女と次男は1,000万円ずつしか財産を取得していません。このように、現物分割では相続人間での偏りが発生しやすく、不公平感が生じる可能性があります。

遺産分割は、必ずしも相続人間で財産の取得額を同じにする必要はありませんので、上記の分割で長男、長女、次男が合意をすればその分割が認められます。

例えば、長男が被相続人の介護を長期間にわたって行っていた、または長女や次男が生前に被相続人から資金援助を受けていたなどの場合は、相続財産の取得額に偏りがあっても合意できる可能性もありますが、このあたりはそれぞれのご家庭の事情によります。

3.代償分割

ある財産を取得する代わりに代償金を支払う分割方法です。

2つ目の遺産分割の方法は代償分割です。

代償分割とは、ある相続財産を特定の相続人が取得する代わりに、その特定の相続人が別の相続人に対して他の財産をわたす分割方法です。

具体的には、相続人Aが不動産を取得する代わりに、相続人Aは不動産を取得しない相続人Bに金銭をわたすといったことが考えられます。

現物分割を行うと相続人間で財産の取得額に偏りが発生する、または不動産を共有状態で分割しようとすると後々の管理等がややこしくなる、といった場合にこの代償分割が検討されることが一般的です。

現物分割で登場した先ほどの例で、代償分割により各相続人が平等に財産を取得しようとするとどうなるでしょうか?

【事例】

  • 相続人は、長男、長女、次男の3
  • 相続財産は、不動産A1億円、B銀行の預貯金:1,000万円、C銀行の預貯金:1,000万円の合計12,000万円
  • 長男が不動産A、長女がB銀行の預貯金、次男がC銀行の預貯金を取得するものと仮定
  • 長男Aは長女Bと次男Cに代償金として3,000万円ずつ支払うものと仮定

上記の場合は、長男Aの財産取得額は4,000万円(不動産1億円-代償金3,000万円×2人)、長女Bと次男Cの財産取得額も4,000万円(預貯金1,000万円+代償金3,000万円)となり、各相続人が取得する金額が同じになり、公平性が保たれます。

このように代償分割は、現物分割では相続人間で偏りが生じるときに検討される方法ですが、代償金をわたす側(上記の例では長男A)が代償金を準備できるか代償金の支払方法について相続人間で合意ができるかがポイントになります。

代償金は金銭でなく、不動産などでもかまいませんが場合によっては譲渡所得税など相続税以外の税金が発生することもありますので、事前に税理士等の専門家に確認する方がよいでしょう。

4.換価分割

3つ目の遺産分割の方法は換価分割です。

換価分割とは相続財産を売却等により金銭に換金して相続人間で分ける分割方法になります。

現物分割では相続人間で財産の取得額に偏りが発生し、代償分割をしようにも代償金の準備ができないという場合などに検討される方法です。不動産や上場・未上場の分けづらい財産を売却し金銭に代えることで、相続人間で公平に財産を分けることができるようになることが大きなメリットでしょう。

先ほどの事例を用いて換価分割の具体例をみてみましょう。

【事例】

  • 相続人は、長男、長女、次男の3
  • 相続財産は、不動産A1億円、B銀行の預貯金:1,000万円、C銀行の預貯金:1,000万円の合計12,000万円
  • 不動産Aは換価分割のうえ、売却代金を長男、長女、次男の3人で均等に分けるものと仮定
  • B銀行の預貯金およびC銀行の預貯金も3人で均等に分けるものと仮定

上記の場合は、不動産A(の売却代金)、B銀行の預貯金、C銀行の預貯金のいずれも均等に分けることになり、相続人間で公平な遺産分割が可能になります。

公平性という観点からは、不動産の売却に関する費用(仲介手数料 等)なども均等に負担するように遺産分割協議書などに明記しておく方が望ましいでしょう。

売却に伴う譲渡所得税等についても、上記の場合は長男、長女、次男が均等に負担することになります。

このように換価分割は財産を公平に分けるために適した分割方法と言えます。ただ、上記の例で不動産Aにいずれかの相続人が住んでいる場合は、その相続人は売却に反対する可能性があり、そもそも換価ができない可能性があります。

その財産が換金できるものなのか、相続人間でしっかりと協議を行う必要があります。

5.終わりに

3つの遺産分割方法について解説しましたが、ポイントをまとめると次の表のようになります。

分割方法 メリット 注意点
現物分割 シンプルでわかりやすい 相続人間で財産の取得額に偏りが発生しやすい
代償分割 相続人間の公平性 代償金(代償財産)を準備する必要あり
換価分割 相続人間の公平性 財産がそもそも換価できない可能性あり

代償分割と換価分割では、相続税や所得税などで異なる取扱いになる事項がありますので、それらは別の記事で解説していますので、よろしければご覧ください。

※できる限りわかりやすくお伝えすることを優先し、あえて詳細な説明は省略しております。そのため、実際の取扱いなどは別途ご確認くださいますようよろしくお願い致します。

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