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税理士からみる遺言書作成のメリット①(2020年11月30日)

日本公証人連合会によると、2019年に全国で作成された公正証書遺言の数は113137件になっています。2010年は81984件でしたので、そこから比べると作成件数が約40%増加していることになります。

相続対策ではいかにして相続税を減らすかが注目されやすいのですが、遺言書を作成することも立派な相続対策の一つです。

そこで、税理士からみた遺言書を作成するメリットを何回かに分けてお伝えしていきます(今回は第1回目です)

目次(遺言書作成のメリット)

1.相続人の相続手続きの負担軽減につながる

相続後は相続人に様々な手続きが発生します。その負担を軽減したいものですよね。

相続が発生した後は通夜・告別式、法要関係、故人の年金や社会保険関係の手続き、預貯金の解約、不動産の名義変更など様々な手続きが発生します。

そして、その手続きを行うには故人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍を集めなければならないなど、手続きのための手続きも発生します。

故人の預貯金の解約、不動産の名義変更、有価証券の移管などは誰が引き継ぐのかを決めなければ、基本的には故人の口座や名義から動かすことはできません。

誰が引き継ぐのかは、遺言書がなければ相続人間で遺産分割協議により決めることになりますが、故人が生前に作成した遺言書があれば、遺言書に沿って誰にどのように財産を分けるかがあらかじめ決まっています。

遺言書があることで、故人の預貯金の解約や不動産の名義変更がスムーズに行えるので、相続人の相続手続きの負担を軽くすることにつながります。

2.財産の計上漏れを防ぎ適切な申告につながる

「相続財産がわからない」ということが相続人にとっては不安になります。

相続後は様々な手続きが発生しますが、税金関係の手続きも場合によっては必要になります。

税金関係の手続きは期限が決まっており、例えば次の図のように、故人の準確定申告は相続発生の翌日から4か月以内、相続税申告は相続発生の翌日から10か月以内となります。

 

一見すると、4か月や10か月という期間は長そうにも思えますが、相続後は税金関係以外の手続きが数多くあるので、税金のことを考える間もなくあっという間に3か月ほどが過ぎていきます。

3か月が経過してようやく落ち着いたころには、準確定申告まではあと1か月、相続税申告まではあと7か月となります。

準確定申告や相続税申告を行うためには、生前に被相続人(故人)にどのような収入があったのか、どのような財産を所有していたのかを把握しなければなりません。一緒に暮らしていた相続人であればともかく、離れて暮らしていた子供や兄弟姉妹が相続人の場合は被相続人の収入や財産がまったくわからない場合もあるでしょう。

特に相続税申告が必要な方は、期限が迫る中で被相続人の財産や債務を調べることが必要になります。

税金関係の申告は時間との勝負になります。

しかし、生前に被相続人が作成した遺言書があれば、遺言書にはご自身(被相続人)が所有している財産を記載しますので、相続人が財産調査をしなくても遺言書を確認すればすぐにわかります。

財産が明確であれば適切に相続税申告を行えますので、相続人の安心にもつながります。

3.財産の分け方についての指定ができ、相続人の納得度合いが高まる

遺言書は被相続人から相続人への最後のメッセージです。

遺言書がない場合は、相続人が被相続人の財産調査を行い、すべての財産を確定させる必要があります。財産の規模にもよりますが、財産調査は23か月ほどかかることが多いです。

相続開始から3か月ほどは税金関係以外の手続きであっという間に過ぎ、その後に財産調査で23か月ほどが過ぎると残り45か月となります。

仮に相続税申告期限まで残り4か月となったところで、被相続人の財産を調べ終わり、財産の一覧表が完成したとしても、その後に財産を誰がどのくらいの割合で取得するのかをすべての相続人が協議をして決めなければなりません。

すべての相続人がすんなりと納得すれば問題はありませんが、いざ財産の一覧を目の前にすると欲が出る場合もありますし、相続人同士で感情的になることもあります。

Aは両親と一緒に暮らしていて生活費もまかなってもらっていたから、相続財産は少なくていいのではないか?」

「私は両親の老後の世話をしていたのだから、相続での取り分は多くても良いのではないか?」

Bは大学まで行かせてもらっていたのに、自分は行かせてもらっていない。その分を調整すべきではないか?」

ささいな一言をきっかけにして、相続人同士で対立してしまうこともあり、対立してしまえば財産の分け方は確定しません。

ただ、財産の分け方が確定しないからといって、相続税の申告期限が延長されることはありません。財産の分割がされていないという未分割状態で相続税の申告と納税をすることになります。

未分割の申告の場合は小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減といった、相続税の計算で非常に有利な特例を利用することができなくなります(※)

結果として特例が利用できる場合と比べて納税額が増加しますので、相続人にとって何も良いことはありません。

(※)期限後に一定期間内に分割が確定した場合は、特例を利用した申告を改めて行い、当初の納税額との差額を還付してもらうこともできますが、いずれにせよ分割が確定することが条件となります。

このようなことを防ぐためにも、生前に遺言書を作成することは有効な対策です。

遺言書にはご自身(被相続人)が所有している財産を誰にどのように分けるかを記載しますので、財産の分け方を相続人間で話し合わなくても、遺言書に沿って分ければよいわけです。

また、遺言書には被相続人から相続人への思いも書くことができます。なぜ遺言書に書いたような財産の分け方にしたのか、そのお気持ちを記すことで相続人の納得度合いは高まります。 

ただし、遺留分には注意が必要です。遺言書に沿った分け方で相続人の遺留分を侵害する場合は、侵害された相続人から侵害した相続人へ遺留分侵害額請求をされる可能性があります。

その場合は相続人間での争いに発展する可能性が高くなりますのでご注意ください。遺留分について解説した記事はこちらになります。

4.終わりに

今回は遺言書作成のメリットの第1回目でした。第2回目の記事は以下のリンク先にございますので、その他の関連記事と併せてよろしければぜひご覧ください。

※できる限りわかりやすくお伝えすることを優先し、あえて詳細な説明は省略しております。そのため、実際の取扱いなどは別途ご確認くださいますようよろしくお願い致します。

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