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成人年齢の引き下げ(20歳→18歳)が影響する税制(2022年5月11日)

令和4年(2022年)4月1日から成人年齢が18歳に引き下げられました。

成人になると契約行為が可能となるなど様々な影響が生じますが、税の世界にも影響があります。

そこで今回は、成人年齢の引き下げにより影響を受ける税制を紹介します。

目次

1.(相続税)未成年者控除

未成年者控除の計算方法が変わります。

まずは、相続税計算における未成年者控除の扱いです。

未成年者控除とは、未成年者である相続人が相続で財産を取得したなど一定の条件を満たした場合に利用できる相続税の控除制度です。

令和4年3月までの相続では相続人が20歳未満である場合に、以下の計算式で計算した金額を未成年者である相続人の相続税から控除できます。

未成年者控除の金額(令和4年3月31日までの相続)

(20歳-未成年者である相続人の年齢)×10万円

未成年者である相続人の年齢は相続発生日時点の年齢となり、1年未満の期間は計算上切捨てます。

例えば、未成年者である相続人の年齢が14歳8か月である場合は、8か月を切捨て14歳と考えて計算を行います。その結果、未成年者控除は60万円(※)となります。

(※)(20歳-14歳)×10万円

成人年齢の引き下げにより、令和4年4月以降の相続における未成年者控除の金額は以下の計算式により計算します。

未成年者控除の金額(令和4年4月1日以降の相続)

(18歳-未成年者である相続人の年齢)×10万円

先ほどの例で考えると、未成年者である相続人の年齢が14歳8か月であり、8か月を切捨てて考えるので計算上は14歳となります。そのため、未成年者控除は40万円(※)となります。

(※)(18歳-14歳)×10万円

なお、例えば5歳のときに1回目の相続で財産を取得し、13歳のときに2回目の相続で財産を取得するなど、同じ相続人が2回以上未成年者控除を利用するときは、2回目以降の未成年者控除の金額は調整計算を行う必要がありますのでご注意ください。

今回の成人年齢引き下げ前(令和4年3月31日以前の相続)に未成年者として相続財産を取得した方が、成人年齢引き下げ後(令和4年4月1日以降の相続)に未成年者として別の相続で相続財産を取得する場合も未成年者控除の金額を調整する必要があります。

2.(贈与税)暦年贈与における特例税率

子や孫への贈与について影響があるかもしれません。

暦年贈与とは、年110万円までであれば贈与税が発生しない贈与の仕組みのことです。暦年贈与の詳細は以下のリンク先の記事をご覧ください。

 

 

暦年贈与の税率は2種類あり、一般税率と特例税率に分かれています。

祖父母や父母から20歳以上の子や孫への贈与の場合は、特例税率により贈与税を計算していましたが、こちらも成人年齢の引き下げが影響します。

令和4年4月1日以降の贈与では、祖父母や父母から18歳以上の子や孫へ贈与を行った場合は、特例税率により贈与税を計算することになります。

なお、子や孫は贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上である必要があります。例えば、その年の5月に誕生日を迎えて18歳になるという子や孫であれば、その年の1月1日時点では17歳ということですので、特例税率は利用できずに一般税率により計算することになります。

基本的に一般税率による贈与は特例税率による贈与よりも贈与税が多くなりますので、この点はご注意ください。

こちらも子や孫への贈与に関する影響です。

3.(贈与税)相続時精算課税贈与

相続時精算課税贈与は、60歳以上の祖父母や父母から20歳以上の子や孫への贈与の際に利用できる制度です。

先ほど紹介した暦年贈与とは選択制となり、何も選択しなければ(税務署に何も届出をしなければ)暦年贈与の仕組みを利用することになります。制度の詳細は次のリンク先の記事をご覧ください。

成人年齢の引き下げにより、令和4年4月1日以降に行う贈与からは、60歳以上の祖父母や父母から18歳以上の子や孫への贈与時に利用できる制度となりました。

なお、こちらも子や孫は贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上である必要があります。また、祖父母や父母も贈与を行った年の1月1日時点で60歳以上である必要がありますのでご注意ください。

4.(贈与税)結婚・子育て資金贈与

20歳以上の子や孫に、結婚または子育てに関する資金を贈与する際には、通常の贈与(暦年贈与または相続時精算課税贈与)のほかに結婚・子育て資金贈与という特別な贈与制度を利用することができます。

令和4年4月1日以降に行う贈与からは、18歳以上の子や孫に対しても結婚・子育て資金贈与が利用できます(年齢の他にも利用のための条件がありますのでご注意ください)

ただ、この制度は使い勝手の面から利用実績があまり多くないため、影響はかなり限定的なのではないかと考えられます。

5.(贈与税)住宅取得資金贈与

20歳以上の子や孫に、住宅取得に関する資金を贈与する際には、通常の贈与(暦年贈与または相続時精算課税贈与)のほかに住宅取得資金贈与という特別な贈与制度を利用することができます。

令和4年4月1日以降は、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上の子や孫に対しても住宅取得資金贈与が利用できます(年齢の他にも利用のための条件がありますのでご注意ください)

住宅に関しては、令和4年から住宅ローン控除が大きく改正されているのでこの点も併せて確認しておきましょう。

6.(贈与税)事業承継税制

上場していない会社の株式を後継者である子に贈与する際に、株式に対する贈与税が多額に発生することがあります。後継者が贈与税を支払えなければ、株式が次世代に移転されずに事業承継が滞る可能性があります。

このような問題を回避する一つの手段として事業承継税制があります。これは、一定の条件にもとづき自社の株式を後継者に贈与する場合は、贈与税を猶予する制度になります。

贈与税の猶予(支払の先送り)であって免除ではないため、猶予される条件を満たせなくなった場合は贈与税を支払わなければなりません。

猶予される条件が非常に細かく、贈与した後も様々な管理が必要になるため、私見ですが好みが分かれる税制になっていると感じられます。

この事業承継税制も令和4年3月31日までは、20歳以上の方への贈与が対象でしたが、令和4年4月1日以降は18歳以上の方への贈与が対象になります。

7.終わりに

税制の説明では触れませんでしたが、相続人がどのように相続財産を取得するかを記載する「遺産分割協議書」も、令和4年4月1日以降は18歳以上の相続人であれば、代理人を選任することなく自ら署名ができることになります。

代理人を選任するには時間も手間も相応にかかりますので、この点を抑えておくと手続きの手間が省けるケースも考えられます。

 

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