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賃貸物件を相続する場合は、土地や家屋の評価方法が自宅とは異なります。借地権や借家権を考慮して評価することはもちろんですが、賃貸割合も考慮することは意外と見落としやすい点です。
賃貸割合とは、大ざっぱに言えば不動産全体のうち、どのくらいの割合を他人に賃貸しているかというものです。
今回は、賃貸している不動産の土地や建物の相続税評価方法を解説し、その後に賃貸割合についての注意点をお伝えしていきます。
貸している建物の相続税評価方法をお伝えします。
まず賃貸不動産の建物の相続税評価方法については以下のとおりです。
建物の固定資産税評価額-建物の固定資産税評価額×借家権割合(30%)×賃貸割合
自宅など他人に賃貸していない建物は固定資産税評価額により評価を行いますが、賃貸している場合は一般的に借主をその建物に住まわせる義務を負うことになります。
その義務を借家権として評価し、その分を建物の固定資産税評価額から減額することができます。本記事の執筆時点では、借家権は全国一律で30%となっているため、賃貸している建物は賃貸していない建物に比べて30%の評価減ができるということになります。
もう一つポイントとして賃貸割合を考慮することが挙げられます。評価方法の算式をみると、借家権割合に賃貸割合を掛けていることがわかります。
賃貸割合とは、家屋の床面積の合計に対して賃貸されている部分の床面積の合計が占める割合です。大ざっぱなイメージとしては、アパートやマンションなど複数の部屋がある建物を賃貸している場合に、全部屋のうち何部屋を賃貸しているかを表す割合と考えればよいでしょう。
例えば、アパート4室を賃貸していて、4室中3室が埋まっており、1室が空室であった場合は、賃貸割合は75%(3室/4室)となります(4室とも部屋の床面積はすべて同じと仮定しています)
賃貸割合が100%の場合とそうでない場合に貸家の相続税評価額がどのように異なるか事例をみてみましょう。
例1(賃貸割合100%)
例2(賃貸割合75%)
例1は賃貸割合が100%、例2は賃貸割合が75%となっていますが、賃貸割合が低い例2の方が建物の相続税評価額が大きくなることがわかります。
賃貸割合が低いということは他人に貸していない部分があるということであり、貸していない部分であれば、他人を住まわせる義務を負っていると言えないことになりますから、その分評価減の金額を減らすことにつながります。
多少回りくどい表現になりましたが、賃貸割合が低いほど貸家の相続税評価額は大きくなる(=自宅など貸していない建物の相続税評価額に近づく)ことになります。
貸家が建っている土地の相続税評価方法をお伝えします。
続いて、貸家建付地(※)の相続税評価方法については以下のとおりです。
土地の評価額-土地の評価額×借地権割合×借家権割合(30%)×賃貸割合
※貸家建付地とは土地・家屋を所有している方が家屋を貸している場合の、その貸家の土地を指します。
考え方は貸家の場合とほぼ同じですが、土地の場合は借地権も考慮しています。借主が建物に住むにはその建物の土地も使用することになりますので、土地を使用させる義務を借地権として評価しているというイメージです。
土地の評価額とは、自宅など他人に貸していない土地の評価額になりますので、そこから借地権や借家権や賃貸割合を考慮した金額を差し引いて評価することになります。
ここでも賃貸割合が登場していますので、賃貸割合が100%の場合とそうでない場合を比べてみましょう。
例1(賃貸割合100%)
例2(賃貸割合25%)
今回は例2で賃貸割合を25%と少し低めの数字で計算してみました。例1の賃貸割合が100%の場合と比べると評価額が405万円大きくなっており、もともとの評価額の3,000万円に近付いていることがわかります。
賃貸割合によって賃貸不動産の土地や建物の相続税評価額が異なるということを解説してきました。
ここで、賃貸割合を計算するうえでの注意点を3つ紹介します。
アパートやマンションを賃貸している方に相続が発生した場合に、基本的には相続日時点で各部屋を賃貸しているかそうでないかを判定します。
ただ、例えば相続日の2週間前に借主が退去し、相続日時点ではその部屋は空室。相続発生から3週間後に新たな借主が入居するなどのように、相続日時点ではたまたま空室であったという状況も考えられます。
その場合は、その部屋は一時的な空室と判定し、賃貸割合の計算上、賃貸されていた部屋に含めて割合を計算できる場合があります。上の事例のように、たまたま空室が発生していただけという場合の救済措置と言えます。
この一時的な空室は判断が難しく、実際に納税者と税務署で争われた事例がいくつもあります。
一時的な空室に該当するかはいくつか判断ポイントがあるのですが、そのうちの一つは空室であった期間です。国税庁が公表している考え方には、例えば相続日前後で空室期間が1か月ほどと示されているので、この1か月という期間は目安になると考えられます。
あくまで目安であり他にも判断ポイントはありますので、実際に上記のようなケースに該当した場合は事前に税理士に相談することをおすすめいたします。
戸建物件を賃貸している場合は、賃貸割合という考え方が登場しません。賃貸割合は、アパートやマンションなど複数の部屋がある建物を賃貸しているときに登場する考え方です。
戸建物件の場合は、相続日時点で空いている場合は貸家として評価することはできません。言い換えれば、借家権を差し引いて評価することはできず、自宅など他人に貸していない建物と同じ評価になります(土地も同様の考え方です)
賃貸割合が登場しないため、戸建ての場合は先ほど紹介した一時的な空室という考え方もありません。したがって、戸建物件を賃貸しており、相続日時点ではたまたま空室であったという理由により貸家として評価することはできませんのでご注意ください。
賃貸不動産を建築して相続対策をしましょうという宣伝はいまでも見かけますし、対策の一つであることは間違いありません。
ここまで見てきたように、不動産を賃貸することができれば土地や建物の相続税評価額を減額することができます。
ただ、思いがけず空室が多く発生してしまうと賃貸割合が低くなり、結果として土地や建物の相続税評価額が大きくなり、思ったほど相続対策にならないという事態も起こり得ます。
相続対策として賃貸不動産を活用することをお考えの場合は、このあたりも注意点として抑えておくとよいでしょう。
今回は、賃貸不動産の土地や建物の相続税評価方法、中でも賃貸割合が評価に与える影響を解説しました。
実際に借主に貸しているからこそ、賃貸不動産の土地や建物の評価額が引き下げられるという点は非常に重要です。見落としやすい点でもありますので、賃貸不動産を所有している方は注意をしましょう。
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※できる限りわかりやすくお伝えすることを優先し、あえて詳細な説明は省略しております。そのため、実際の取扱いなどは別途ご確認くださいますようよろしくお願い致します。
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