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今回は、配偶者居住権についてお客様からよくいただくご質問の2回目です。1回目の記事はこちらになりますので、よろしければ併せてご覧ください。
それぞれの質問事項をクリックするとページ内の回答につながります。
固定資産税は、通常は不動産の所有者が負担をします。配偶者居住権が設定された不動産は、その不動産を利用する権利(建物の配偶者居住権、土地の敷地利用権)は配偶者が有し、不動産の所有権は配偶者以外(長男や長女など)が有しますので、一見すると配偶者以外の所有者が固定資産税を負担するように思えます。
この点、民法第1034条では、配偶者居住権が設定されている建物について「配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担する」と定められています。
固定資産税は、「通常の必要費」に該当するとされていますので、配偶者居住権が設定された建物の固定資産税は配偶者が負担することになります。
市区町村からの固定資産税の納税通知書は、配偶者以外の長男や長女などの所有者に届くことが一般的ですので、いったん所有者が固定資産税の立替払いを行い、後で配偶者と精算することが考えられます。または、納税通知書そのものを配偶者に渡して、配偶者が支払うといった対応も考えられます。
配偶者が家賃を支払う必要はありません。
配偶者居住権は「配偶者が相続発生時に住んでいた建物を無償で使用する権利」であることが、民法第1028条で示されています。
なお、配偶者居住権は、相続発生後に配偶者が住み慣れた自宅を手放さずに引き続き自宅に住み続けられるようにするという目的で創設されたものです。配偶者の老後の生活基盤を確保するという趣旨ですから、その意味でも家賃を支払うということは趣旨から外れるものと考えられます。
配偶者居住権の譲渡はできません。
民法第1032条の第2項に、「配偶者居住権は、譲渡することができない」と明記されています。したがって、配偶者居住権を一度設定した後は、基本的にその設定した建物(自宅)に住み続けることが前提となります。
例えば、自宅が古くなった後は売却をして、売却資金で老人ホーム等の施設に入ることをお考えの場合は、配偶者居住権を設定してしまうと基本的にはその建物が売却できないことになります。
施設に入所するための資金が捻出できなくなる可能性もありますので、今後のライフプランを考えたうえで、配偶者居住権の利用を検討するようにしましょう。
なお、配偶者居住権を生前に消滅させたり、所有者から負担付所有権を買い取ったりすることで、配偶者居住権の設定されていない建物に戻し、その後に売却することは可能です。ただ、後の質問にあるとおり、消滅時や買取時に発生する贈与税や譲渡所得税などの税金の負担を検討する必要があります。
配偶者居住権を設定する際は、その権利が及ぶ期間を終身(配偶者に相続が発生するまで)、若しくは10年などのように一定の期間とすることができます。私見にはなりますが、配偶者の老後の生活基盤の確保という制度の趣旨などを考えると、期間を終身とするケースが多いのではないかと考えています。
終身とした場合は、配偶者の相続時まで配偶者居住権が残ることになります。 一方で、一定の期間とした場合は、その期間の満了時に配偶者居住権が消滅することになります。
ちなみに、民法第1030条では「配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間とする。ただし、遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによる」とされています。終身を原則としつつ、〇年など具体的な年数を設定することもできるというわけです。
配偶者の相続発生後に、配偶者が有していた配偶者居住権は消滅します(民法第1036条、民法第597条第3項)
消滅した配偶者居住権は、配偶者の相続財産にはなりませんので、配偶者の相続時には配偶者居住権以外の財産が相続税の対象となります。
消滅した理由によります。
例えば、配偶者居住権の設定期間を10年として、10年後に期間満了を迎えて配偶者居住権が消滅する場合は特に税金は発生しません。当初の予定どおりに配偶者居住権を終了させるものであり、経済的利益の移転がないとされるためです。
一方で、設定期間(終身とした場合を含む)の満了前に配偶者と所有者の合意により、配偶者居住権を消滅させた場合は、配偶者から所有者にその消滅直前の配偶者居住権に相当する金額を贈与したものとして扱われます。
所有者からすれば、当初の設定期間の前に、配偶者居住権の消滅により不動産が完全な所有権となり、自由に売却や賃貸ができることになります。制約がなくなるという経済的利益の贈与を受けたと考えられるため、贈与税の対象となります。
そのほか、災害などにより建物が滅失した場合に配偶者居住権も消滅する場合は特に課税関係は発生しません。一方で、配偶者が所有者の意思に反して建物の増改築をするなど法で定められた事項を遵守しないことにより、所有者が配偶者居住権を消滅させた場合は贈与税の対象になるなど、消滅に至った理由により課税関係が異なります。
【終わりに】
配偶者居住権についてよくあるご質問の2回目をお届けしました。
配偶者居住権は、2020年4月から開始した新しい制度です。今後、利用実績が増加するものと考えていますので、いずれ実際の活用事例などもお伝えできればと考えています。
相続に関するその他の記事はこちらになります。よろしければご覧ください。
※できる限りわかりやすくお伝えすることを優先し、あえて詳細な説明は省略しております。そのため、実際の取扱いなどは必ず事前に専門家にご確認くださいますようよろしくお願い致します。
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