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事例でみる名義財産のポイント(2020年11月24日)

今回は名義財産について実際に争われた事例を確認し、どのような点から名義財産と判断されたのか、また名義財産とみなされないために注意すべき点について解説します。

様々な視点から名義財産かそうでないかを判断されます。

1.名義財産について争われた事例と判断ポイント

今回ご紹介する事例は、平成27102日に国税不服審判所で判断がなされたものです。

国税不服審判所というと聞きなれないと思いますが、税金関係で納税者と税務署に争いがある場合に、裁判所よりも前に争われる場所としてイメージいただければよいと思います。

税金関係の争いは、大まかに言えば、まず国税不服審判所、審判所での判断に納税者側で不服がある場合は裁判所で争うという流れになります。

裁判所の前に国税不服審判所で争われます。

この事例で争われたのは、「子供名義の定期預金が被相続人(父)の相続財産となるかどうか」です(実際は他にも争われた点があるのですが、今回の記事では省略します) 

前提として、父に相続が発生し、相続人は母と子供4人という状況でした。相続人は父の相続税申告を行いましたが、子供名義の定期預金は相続財産に計上せずに申告を行いました。

その後の税務調査で税務署が、子供名義の定期預金は父の相続財産であるとして、相続税の追徴課税を行ったところ、相続人は納得がいかずに争いとなったというものです。 

争いの場である国税不服審判所では、納税者である相続人と税務署がそれぞれ意見を述べます。この事例の平成27102日裁決は公表されていますので、お互いどのような主張をしたのかについても確認ができます。ご興味のある方はリンク先の審判所のページをご覧ください。

ここでは、審判所がどのように結論付けたのかを確認していきます。

審判所は、大前提として「相続財産である預貯⾦等の帰属については、⼀般的にはその名義⼈に帰属するのが通常であるが、預貯⾦等については別の名義への預け替えが容易にできることから、単に名義⼈が誰であるかという形式的事実のみにより判断するのではなく、その原資となった⾦員の出えん者その管理、運⽤の状況贈与の事実の有無等を総合的に勘案して預貯⾦等の帰属を判断するのが相当であると解される。」としています。 

長々としていますが、預貯金等の帰属(預貯金等を誰が所有するか)については、その預貯金の名義だけでなく、①預貯金通帳のお金は誰が出したものか、②預貯金通帳や通帳の印鑑を管理していたのは誰か、③その預貯金について過去に贈与があったのかなどが判断材料になると言っています。

審判所の判断ポイントをみていきます。

まず、①預貯金通帳のお金は誰が出したものか、です。

この事例では、子供名義の預貯金通帳にあるお金はもともと被相続人である父のものであることは争いがありません。父名義ではなく子供名義の通帳にお金を入れた理由としてペイオフ対策(※)であると審判所は推測しています。

(※)子供名義の定期預金通帳は1,000万円ずつ作成されていることや、被相続人は金融機関担当者からペイオフについての説明を受けていたことが税務署の調査で判明していました。1預金者あたり元本1,000万円とその利息が保護されるので、まとめて父名義で定期預金を組むのではなく、子供名義にして預金者を分散することで、万が一のときに保護される金額を増やそうとしたと推測されています。

次に、②預貯金通帳や通帳の印鑑を管理していたのは誰か、です。

子供名義の定期預金の継続手続きや住所変更手続きを行っていたのは被相続人である父、または父と同居していた母が父の指示を受けて行っていました(当時の手続きの方法についても、税務署や審判所が金融機関担当者へ調査を行っています)

このことから、手続きに用いる通帳や印鑑は被相続人の管理下に置かれていたと判断されています。 

 

最後に、③預貯金について過去に贈与があったのか、です。

②の事実により、子は通帳や印鑑を自身で管理していないので、子供名義の定期預金を自由に使えない状況でした。したがって、贈与は成立していないと判断されました。 

①から③により審判所は、子供名義の定期預金が被相続人(父)の財産であると判断しています。

2.名義財産とみなされないために

名義財産は、相続税の税務調査で最も多く指摘される事項です。

国税不服審判所も述べているとおり、財産の所有者が誰かについては様々な判断基準があり、総合的に判断するしかありません。

名義財産と指摘されやすい状況の一つは、この事例のように贈与が成立していないと判断されるときです。

贈与が成立したと言えるためにはどうすればよいのか?

詳しくは次のリンク先の記事でも解説していますが、贈与があったことを示す証拠をしっかりと残しておきましょう。

相続で名義財産が問題となった場合、あげた側である被相続人はすでに亡くなっているので、贈与があったことを説明できるのは受け取った側である相続人だけです。

明確な主張ができるように証拠を残すことは非常に重要ですし、証拠がそろっていれば税務調査を恐れることもありません。贈与を行う際には、この点を意識した贈与を行うことをおすすめしています。

 

関連するその他の記事はこちらになります。よろしければご覧ください。

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