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相続放棄が他の相続人に与える影響(2020年11月10日)

今回は相続放棄の話です。相続放棄は多くの注意点がありますが、今回の記事では、「相続放棄を行うことで、他の相続人に影響を与えてしまうことがある」ということを例も交えてお伝えしたいと思います。

安易な相続放棄が思わぬ争いを招いてしまったということのないように、この記事の内容を参考にしていただければと思います。

まずは相続人の順位を確認します。

1.相続人の順位

相続発生後に被相続人(お亡くなりになった方)の財産を誰が引き継ぐのかについては、民法でしっかりと定められています。

まず、被相続人の配偶者は必ず相続人になります。

配偶者以外では、被相続人の子がいれば子も相続人になります。実子か養子か、前妻(夫)との間の子か後妻(夫)との間の子かに関わらず、子であれば基本的には等しく相続人になります(内縁関係者との間の子は認知をしなければ相続人とならない場合があります)

子が被相続人よりも先に亡くなっているケースもありますが、その場合は子の子供(被相続人からみた孫)がいれば、孫が本来の相続人である子に代わって相続人(代襲相続人)となります。

なお、相続税を計算するうえでは養子の数に制限がありますが、この記事の内容に直接関係がないので、その点は省略します。

 

被相続人に子がいない場合は、被相続人の両親が相続人になります。両親が相続人になるケースは、不慮の事故等で若くして子に相続が発生した場合などが一般的ですが、高齢化により今後は70歳の子に相続が発生し、100歳の親が相続人となるようなケースも発生する可能性があります。

被相続人に子も両親もいない場合(すでに亡くなっている場合や代襲相続人がいない場合を含む)は、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。いわゆる異母(父)兄弟も兄弟姉妹ですので相続人となりますし、兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は、その兄弟姉妹の子(甥や姪)が代襲相続人となります。

次のリンク先の記事では法定相続人について図で示しておりますので、よろしければこちらもご覧ください。

ポイントは配偶者以外の相続人は、子(第一順位)→親(第二順位)→兄弟姉妹(第三順位)の順番で相続人になるということです。

2.相続放棄とは?

続いて相続放棄の概要です。

相続放棄は、字面のごとく相続そのものを放棄することです。相続放棄を行った相続人は、初めから相続人でなかったものとみなされ、基本的には被相続人の財産や債務を一切引き継ぎません。

また、初めから相続人でなかったものとされるので、相続放棄を行った相続人の子に代襲相続が起こることもありません(次の2つの図をご参照ください)

一般的には、「被相続人の財産より、借入金などの債務の方が大きいので相続をしたくない」という場合に相続放棄を行います。

相続放棄は、基本的には相続開始から3か月以内に家庭裁判所に申し立てをすることが必要になり、各相続人がそれぞれ単独で申し立てをすることができます。

3.相続放棄が他の相続人に与える影響

相続放棄が思わぬ影響を与えてしまう例を1つ紹介します。

夫に相続が発生し、相続人は妻と1人息子A2名で、夫は遺言書は作成していませんでした。夫の両親はすでに亡くなっており、夫には兄弟姉妹が3人いました。家系図は次の図のとおりです。

1人息子のAは、すでに家を出て独立して生活しており、父の相続財産は一切受け取らず、すべて母に受け取ってほしいと考えていました。

そのようなときに、相続放棄という制度があることを知ったAは母にすべての財産をわたしたいとの思いから家庭裁判所に相続放棄の申し立てを行いました。

これで相続のことは心配ないと思ったAでしたが、後日に父の兄弟姉妹である3人(B、C、D)が相続人になった旨を知らされました。

父の兄弟姉妹3人は、「相続人なのだから被相続人である父の財産を受け取る権利がある」旨を強固に主張し、母としても譲らざるを得ませんでした。

結局、母は財産のうちいくらかを父の兄弟姉妹3人にわたしました。そして、兄弟姉妹との度重なる協議で精神的に疲弊してしまい、体調も悪化してしまいました。

この例はフィクションですが、
実際にあったとしても不思議ではありません。

この例はフィクションですので、実際に体験したものではありません。ただ、よかれと思って行った息子Aの相続放棄がこのように思わぬ影響を与えることもあり得ます。

配偶者以外の相続人が相続放棄を行った場合は、次の順位の相続人に相続権が移る場合があります。

第一順位である子が全員相続放棄をすれば第二順位である親が相続人となり、第二順位の親も全員相続放棄をすれば第三順位である兄弟姉妹が相続人となります。

なお、例えば複数いる子のうち一部の子が相続放棄をした場合などは、相続放棄をしなかった子が相続人として残るので、次の順位に相続権が移ることはありません。同順位の相続人全員が相続放棄を行った場合に次の順位の相続人に相続権が移ります。

では先ほどの例では、どのようにすればよかったのでしょうか?

一つの方法としては、息子Aが相続放棄をせずに、母との遺産分割協議で息子が何も取得しない(母がすべての財産を取得する)旨の遺産分割協議書を作成することです。

被相続人の財産を分ける際には法定相続分が目安とはなりますが、必ずしも法定相続分どおりに分ける必要はありません。相続人全員で合意ができれば、基本的にはどのような分け方でも認められますので、母がすべての財産を取得する内容で遺産分割協議書を作成すれば、息子Aの思いも達成できます。

4.終わりに

相続放棄は、単に財産や債務を一切引き継がないというだけではありません。相続放棄をしなかった他の相続人や、次の順位の相続人にも大きな影響を与えることがありますので、実際に相続放棄を行う場合は、このような点も事前に検討することが必要です。

税理士、弁護士、司法書士などの専門家の無料相談を活用することもおすすめです。

 

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