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負担付贈与とその注意点(2020年12月27日)

今回は負担付贈与の話になります。負担付贈与というと聞き慣れないかもしれませんので、まずは負担付贈与とはどのようなものかを解説します。

続いて、負担付贈与に該当した場合の税金がどのように計算されるかを確認します。

最後に、身近な負担付贈与の例として収益物件を贈与する場合を取り上げます。負担付贈与とならないための対策もお伝えしますので、不動産オーナーで相続対策として収益物件の贈与をご検討されている方はぜひご覧ください。

まずは負担付贈与の意味を解説します。

1.負担付贈与とは?

負担付贈与とは名前のとおり、負債(債務)を引き受けることを条件に金銭や不動産などの財産を贈与することです。

贈与というと、金銭、株式、不動産などの財産のみを贈与するケースが多いと思いますので、負担付贈与をわざわざ実行するケースは多くはないでしょう。

ただ、後半でお伝えしますが意図せず負担付贈与になってしまうケースがあり、その場合に想定外の税金が発生することがありますので注意が必要です。

2.負担付贈与となった場合の税金

負担付贈与となった場合に、その贈与された財産が土地や借地権、建物、構築物である場合は、贈与時の時価から負債(債務)の金額を差し引いた額を贈与額として贈与税を計算します。

例えば、父から子へ、①収益物件3,000万円(時価)と、②その収益物件を建築するための借入金2,000万円の贈与を行った場合は、1,000万円(3,000万円-2,000万円)が贈与額とされ贈与税が計算されます。

負担付贈与でない通常の贈与を考えてみると、収益物件3,000万円(時価)は路線価や固定資産税評価額により評価した金額で贈与をします。収益物件が建物であると仮定すれば、建物の構造や築年数にもよりますが、時価のおよそ40%から50%程度で評価できることが多いと思います。その場合は、贈与額が1,200万円(3,000万円×40%)から1,500万円(3,000万円×50%)となります。

負担付贈与の場合は、負債(債務)を引き継ぎ、負債(債務)は返済しなければなりませんので、どちらがよいということは言えません。ただ、この例のように、負債(債務)があるかないかで贈与額の考え方が異なるということは抑えておきましょう。

また、負担付贈与の場合は、贈与をする方に譲渡所得税が発生する場合がありますので、この点もご注意ください。

【豆知識】

土地や建物の負担付贈与であっても、過去には路線価や固定資産税評価額で評価した土地や建物の金額から負債(債務)の金額を差し引いた額を贈与額としていました。

ただ、バブル期には「借入金>土地や建物の評価額」となり、借入金と土地や建物をセットで贈与をすることで、税負担なく贈与ができていたことに税務当局が危機感をもっていました。そこで、平成元年4月からルールが変わり、土地や建物の負担付贈与の場合は、土地や建物は時価で評価するという今のルールになったわけです。

3.収益物件を贈与する際の注意点

意図せず負担付贈与になる可能性があるケースとして多いのは、収益物件の建物を贈与するケースでしょう。

収益物件の建物と借入金をセットで贈与するケースはわかりやすいのですが、借入金がないケースでも負担付贈与に該当する場合があります。

それは、収益物件の借主から敷金として将来返還する可能性があるものを預かっているケースです。

収益物件の贈与を検討する際にはご注意ください。

例えば、父が収益物件である建物3,000万円(時価)を所有しており、借主から敷金を合計300万円預かっていたとします。

父から子に対して収益物件を贈与する場合は、通常は建物を固定資産税評価額で評価した金額をもとに、贈与する金額が計算されます。

仮に固定資産税評価額をもとに評価した金額が1,500万円であった場合は、敷金を考慮しなければ、相続時精算課税制度を利用することで2,500万円までは贈与税がかかりませんので、贈与税を発生させずに贈与ができることになります。

ここで敷金の性格を考えてみましょう。敷金とは、借主が退去する際に借主側に未払いのものがなければ、基本的には借主に返す義務があるものです。つまり、貸主は借主に将来敷金相当額を返す負債(債務)を負っていることになります。

上の例で、父が収益物件である建物のみを子に贈与をした場合に、将来借主に敷金を返還する義務を負うのは子になります。言い換えれば、父から子へ収益物件の建物と同時に敷金返還という負債(債務)を贈与していると考えられます。したがって、形式上は負担付贈与と判断されてもおかしくないと言えます。

負担付贈与の場合は、収益物件の建物は時価で評価しなければなりません。敷金の300万円は負債(債務)になるとしても、贈与額は2,700万円(3,000万円-300万円)となります。相続時精算課税制度を利用したとしても2,500万円を超えますから贈与税が発生してしまいます。

このように収益物件の建物を贈与する際は、敷金の有無に注意が必要です。

意外と見落としやすい点ですので注意が必要です。

敷金がある場合の対処方法として、収益物件の建物を贈与する際に、敷金相当の金銭を併せてわたすことが挙げられます。

先ほどの例で言えば、父が子に収益物件の建物を贈与する際に、敷金相当の金銭300万円を子にわたすということです。

そうすれば負担付贈与には該当しないと国税庁の質疑応答事例でも示されています。

4.終わりに

生前の相続対策として収益物件の贈与を検討される際は、今回の記事にあるような負担付贈与に該当しないか必ず確認が必要と考えています。

相続対策に関するその他の記事はこちらになります。よろしければご覧ください。

※できる限りわかりやすくお伝えすることを優先し、あえて詳細な説明は省略しております。そのため、実際の取扱いなどは別途ご確認くださいますようよろしくお願い致します。

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