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相続対策を考える際に、相続税を抑えるための手段として、不動産の活用は有効な対策となり得ます。「アパート経営により相続税対策をしましょう」といった新聞広告やチラシなどを見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。
今回は、不動産の活用がなぜ相続税を抑えることにつながるのか、という点について解説していこうと思います。リンク先の記事では、不動産の活用を考えるうえでご注意いただきたい点について紹介していますので、そちらも併せてご覧いただければと思います。
不動産の価格はいくつもの
種類があります。
不動産の活用がなぜ相続税対策になるのか?
この質問に回答する前に、まずは不動産、特に土地には様々な視点からの価格があるということを抑えていきましょう。
実際に取引(売買)を行うときの価格、その取引の指標となる公示価格、相続税を計算する際の路線価、固定資産税を計算する際の固定資産税評価額…などで、土地の価格としてよく出てくるものは以下の5つかと思います。
第三者間で売買をされるときのその売買価格です。一般的に土地の時価と言われたときはこの取引価格(実勢価格)を指すことが多いように思われます。
国土交通省が3月に公表する毎年1月1日時点の土地の価格です。
全国に定められた標準地という地点の土地の価格で①の取引価格の指標となるほか、④や⑤の路線価や固定資産税評価額の基準となっています。
各都道府県が9月に公表する毎年7月1日時点の土地の価格です。
全国に定められた基準地という地点の土地の価格で②の公示地価と併せて、①の取引価格の指標となっています。なお、公示地価の標準地と基準地は同じ場合もあれば異なる場合もあります。また、公示地価とは評価時点が異なるので、それぞれの時点までに起きた価格変動の要因を反映することとなります。
国税庁が7月に公表する毎年1月1日時点の土地の価格です。
基本的には②の公示地価の80%となるように算定されており、相続や贈与で土地を引き継ぐ際の価格を算定するために用いられます。
総務省や市町村が公表する毎年1月1日時点の土地の価格です。
評価は3年に1度行われ(次回の評価替えは令和3年)、基本的には②の公示地価の70%となるように算定されており、土地の固定資産税・都市計画税の額などを算定するために用いられます。
相続時に不動産をどのように
評価するのかが鍵となります。
さて、冒頭の質問に戻り、「不動産の活用がなぜ相続税対策になるのか?」ですが、一言で言ってしまえば、取引価格(実勢価格)で取得した土地などの不動産が、相続税を計算するうえでは路線価や固定資産税評価額で評価されるためです。
もう少し具体的な話をすると、例えば5,000万円の現金を持っているAさんがいます。Aさんに相続が発生した時に、相続税を計算するうえで5,000万円の現金はいくらで評価されるでしょうか?
答えは5,000万円です。
これは5,000万円の現金は誰からみても5,000万円の価値があるから評価額も5,000万円になるということで、当たり前といえば当たり前のことかもしれませんね。
では、今度は売買により5,000万円で購入した土地を持っているBさんがいます。Bさんに相続が発生した時に、5,000万円で購入した土地は、相続税計算上はいくらで評価されるでしょうか?
先ほどみてきたように、取引価格(実勢価格)は基本的には公示地価や基準地価が指標となっていること、路線価は公示地価の80%となるように算定されていることを踏まえると、単純に計算すると4,000万円(5,000万円×80%)となるわけです。
実際にその土地を売却しようと思えば、5,000万円に近い取引価格になるのかもしれませんが、相続税を計算するうえでは基本的には路線価(※)にて計算されることとなります。
(※)土地が所在する地域によっては、固定資産税評価額をもとに計算する場合があります。また、路線価が取引価格(実勢価格)よりも高い場合は、状況に応じて路線価ではなく取引価格(実勢価格)を基にした金額により評価できる場合もあります。
これを表で示すと次のとおりです。なお、Aさん、Bさんそれぞれの相続人は1人と仮定しています。
財産 | Aさん | Bさん |
---|---|---|
現金 | 5,000万円 | 0円 |
土地 | 0円 | 4,000万円 |
合計 | 5,000万円 | 4,000万円 |
相続税 | 160万円 | 40万円 |
この例では小規模宅地等の特例は考慮していませんが、一定の土地であれば小規模宅地等の特例が適用でき、土地の評価額を50%または80%減額させることができます。その場合は、土地の評価額が2,000万円(50%減額の場合)または800万円(80%減額の場合)となり、財産合計が基礎控除(この例では3,600万円)以下となるため、相続税が発生しないことになります(特例を適用するための申告は必要です)
土地だけではなく、建物についても同じことが言えます。相続税を計算するうえで、建物は基本的には固定資産税評価額にもとづき計算します。建物の構造などにもよるので一概には言えませんが、固定資産税評価額は取引価格(実勢価格)の40%から70%程度になることが多いように思われます。
土地や建物については、現実に取得した価格と相続税を計算するうえでの評価額が異なり、通常は取得した価格よりも評価額の方が低くなります。そのため、相続税を抑えるうえでは、不動産の活用が一つの有効な対策になるということです。
賃貸不動産は相続税計算上の評価額をより抑える効果があります。
さらに、取得した不動産を賃貸する場合は、相続税を計算するうえでは、より評価額を引き下げられます。
これは、借地権や借家権が影響するためです。説明は多少大雑把になりますが、例えば、ある土地・建物をご自身で所有しており、ご自身で住んでいる場合は、土地・建物を処分するなどの意思決定はご自身で自由に行うことができます。
一方で、その土地・建物を第三者に賃貸している場合は、ご自身で住みたいと思ったり、取り壊して処分したいと思っても、まずは借りている第三者に立ち退いてもらわなければなりません。その意味で、土地・建物の所有者の権利に制約が付いてしまいます。
そのため、賃貸をしている場合は所有者の権利が制約される(=借主に借地権や借家権がある)ことに伴い、評価額を引き下げることができるわけです。
そこで以下の前提をもとに、それぞれ相続税を計算してみると以下のようになります。
前提
Aさんが預貯金1億円を遺し、相続が発生した場合をパターン①
Aさんが生前に8,000万円の不動産を自己資金で購入し、不動産を賃貸した後に相続が発生した場合をパターン②
購入した不動産の価格の内訳は土地(200㎡)4,000万円、建物4,000万円と仮定
賃貸不動産の借地権割合は60%、借家権割合は30%、賃貸割合は100%(空室なし)
土地の路線価は購入価格の80%、建物の固定資産税評価額は購入価格の60%
小規模宅地等の特例の適用要件を満たしているものと仮定
パターン① | パターン② | |
---|---|---|
預貯金 | 1億円 | 2,000万円 |
賃貸不動産の土地 | 0円 | 2,624万円 |
賃貸不動産の建物 | 0円 | 1,680万円 |
小規模宅地等の特例 | 0円 | ▲1,312万円 |
財産合計 | 1億円 | 4,992万円 |
相続税 | 1,220万円 | 158.8万円 |
パターン②について補足をすると、預貯金は1億円から不動産の購入代金8,000万円を差し引いて2,000万円となります。
土地は、4,000万円の購入価格をまずは路線価で評価するので3,200万円(4,000万円×80%)となります。そして賃貸をしているので、借地権と借家権の調整が入り、2,624万円(3,200万円×(1-0.6×0.3×1))となります。
建物は、4,000万円の購入価格をまずは固定資産税評価額で評価するので2,400万円(4,000万円×60%)となります。そして賃貸をしているので、借家権の調整が入り、1,680万円(2,400万円×(1-0.3×1))となります。
小規模宅地等の特例はいくつか種類があり、賃貸不動産の土地についても条件を満たせば適用でき、土地200㎡までは評価額が半分になるので、減額は1,312万円(2,624万円×50%)となります。
計算結果をみると、なぜ不動産の活用が相続税対策になるのか、おわかりいただけたと思います。財産を預貯金から賃貸不動産に組み替えると、この例では相続税が約1,060万円も減少しています。
もちろん、今回の計算は一定の仮定を置いた数字によるものですが、考え方は変わりません。言うなれば、そのままの価格で評価されてしまう現金や預貯金と、路線価や固定資産税評価額で評価される不動産との評価方法の違いに着目し、かつ場合によっては賃貸による権利関係の調整や小規模宅地等の特例を活用することにより、相続税を減少させる対策なのです。
不動産の活用は、相続税を抑えるうえでは有効になり得る対策ですが、万能ではありません。注意点もいくつかありますので、こちらの記事も併せてご覧いただければと思います。
※できる限りわかりやすくお伝えすることを優先し、あえて詳細な説明は省略しております。そのため、実際の取扱いなどは別途ご確認くださいますようよろしくお願い致します。
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