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2020年(令和2年)の年末調整における注意点(2020年10月7日)

本記事では、会社などで年末調整を担当される方へ向けて、年末調整の手続きについて、昨年(2019年)からの変更点をご紹介しています。併せて、年末調整の電子化や、特に中小企業におすすめの対応方法についてもご紹介しています。

年末調整の概要や流れを説明するページではありませんのでご注意ください。年末調整の概要などを確認したい方は、国税庁の特集ページをご覧ください。

目次

1.昨年(2019年)からの変更点

令和2年分は変更箇所がたくさん。
まずは概要を抑えましょう。

1-1.給与所得控除の減額

働き方の多様化を受けて、会社員のみが適用できる給与所得控除の金額が減額されます。

代わりに、会社員だけでなく自営業者なども含め、基本的にはすべての人が適用できる基礎控除の金額が増加されます。

給与所得控除の金額がどのように変わるのかは、次の表をご覧ください。

1-2.所得金額調整控除の新設

給与収入(額面)が850万円を超え、かつ以下の2つの条件のいずれかに該当する場合は、所定の計算式で計算した金額を給与所得から控除します。

  • 本人、同一の生計の配偶者、扶養親族のいずれかが特別障碍者
  • 扶養親族が23歳未満

いずれかに該当するご家庭の場合は、給与所得控除の減額により所得税が過度に増えないように配慮されたものです。

1-3.基礎控除の改正

合計所得金額が2,400万円を超える場合は、基礎控除の金額が段階的に減額されます。

1-4.扶養親族等の合計所得金額要件等の改正

主には、給与所得控除を減額し、基礎控除を増額させたことに伴うものです。細かな点は省きますが、計算上の話だけで、実態としてはこれまでと変わらないという方が多いと思いますので、特に気にしなくてもよいでしょう(配偶者や扶養親族がパートやアルバイトの収入のみという場合であれば、実態として影響はありません)

1-5.ひとり親控除の新設

新たに創られたひとり親控除の要件は、以下のすべてを満たすことです。

  • 同一生計の子がいる
  • 本人(ひとり親)の合計所得金額が500万円以下
  • 内縁関係など事実婚の人がいない(住民票の続柄に未届の夫や未届の妻である旨の記載がされた人がいない)

また、ひとり親控除の新設に合わせて、これまでの寡婦(寡夫)控除が改正されました。寡婦の範囲の変更や、特別の寡婦の廃止といった内容です。

詳しくは次のフロー図をご覧ください。

2.従業員から提出を受けることが必要な書類

年末調整のための申告書の様式は、
昨年から大きく変わっています。

令和2年(2020年)の年末調整時に従業員から提出を受けることが必要な書類は以下のものです。

  • 令和2年分 扶養控除等(異動)申告書
  • 令和3年分 扶養控除等(異動)申告書
  • 令和2年分 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
  • 令和2年分 保険料控除申告書
  • (特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

各申告書の様式はリンク先をご覧ください。

このうち、保険料控除申告書と住宅借入金等特別控除申告書は、該当する場合のみ提出が必要になります。

申告書の様式が前年から変わっているため、前年の申告書そのまま使用しないようにご注意ください。 

3.年末調整の電子化とおすすめの対応方法

3-1.これまでの年末調整
  • 生命保険会社等から保険料控除証明書などが各従業員へ紙で送付
  • 証明書などにもとづき、各従業員が扶養控除申告書等を手書きで記入
  • 各従業員が年末調整を担当する会社の部署へ、扶養控除申告書等を提出
  • 担当部署が提出された紙の資料を確認
  • 紙に記入された数字を給与システム等にデータ入力し、年末調整を実施
3-2.完全電子化後の年末調整
  • マイナポータルや保険会社のホームページなどから、各従業員が保険料控除証明書などをデータで取得(※1)
  • 国税庁が提供する無料の年調ソフトなどで、各従業員が扶養控除申告書等をデータで作成(※2)
  • 年末調整の担当部署へ、各従業員が扶養控除申告書等をデータで提出(※3)
  • 担当部署が自社の給与システム等にデータを取り込んで年末調整の計算を自動で実施(※4) 

(※1)マイナポータルからのデータ取得(マイナポータル連携)は、令和2年中に対応予定の保険会社と令和3年以降に対応予定の会社とに分かれます。対応予定の保険会社などは国税庁のホームページで随時公表されています。また、従業員がマイナンバーカードを所持していないとマイナポータルからのデータ取得はできません。 

(※2)保険料控除証明書などをソフトに取り込むことで、申告書の該当部分が自動計算されます。

(※3)各従業員から保険料控除証明書、住宅ローン残高証明書、扶養控除申告書などをデータで受け取る場合は、事前(データで提供を受ける予定月の2か月前まで)に税務署に「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を提出することが必要となります。 

(※4)自社の給与システム等へのデータ取り込みは、事前にシステム会社などへの確認が必要です。

出典:国税庁「年末調整手続の電子化に向けた取組について(令和2年分以降)」より、
年末調整手続の電子化概要図(https://www.nta.go.jp/users/gensen/nenmatsu/nencho.htm

3-3.おすすめの対応方法

完全電子化を行えば、従業員にとっても、年末調整の担当部署にとっても、記入や確認の手間が省けるので理想的ですが、まずはできるところから始めるという対応もありです。

最初の取り掛かりとしておすすめの方法は、年調ソフトなどを利用して、各従業員が扶養控除申告書等をデータで作成する方法です。

私も国税庁が提供する無料の年調ソフトを試しに使ってみました。個人的な感想も含めてですが、年調ソフトを利用することにより、従業員・年末調整の担当部署双方に以下のようなメリットがあると考えられます。

3-4.従業員のメリット
  • 申告書11枚に住所や氏名を記入することが不要になる(住所や氏名をソフトに1回入力してしまえば、すべての申告書に反映される)
  • 生命保険料控除などの控除額の計算が自動化される。
  • ソフト内の質問に回答することで、どの申告書を作成すればよいかが自動判別される。
3-5.年末調整の担当部署のメリット
  • 従業員が提出する申告書についての記入・計算ミスが減る。
  • 申告書の確認業務の負担が軽減される。
  • 従業員ごとにどのような申告書が必要かの周知や質問対応にかける時間が減る。

注意点としては、2018年(平成30年)以前に住宅ローン控除を受けていた方の住宅借入金等特別控除申告書は、この記事の執筆時点では年調ソフトが対応していないので、別途書面で対応する必要があることでしょうか。

また、101日に公開されたばかりなので、今後ソフトに修正が入る可能性もあります。ソフトを利用する際は、年末調整の直前にソフトのバージョンを確認し、最新のものを利用するようにしましょう。

国税庁が提供する無料の年調ソフトはこちらから確認できます(リンク先の5.年末調整控除申告書作成用ソフトウェアダウンロードという項目をご確認ください)。そのほか、スマートフォンの公式ストアからアプリのダウンロードも可能です

作成した申告書は、書面かデータのいずれかの方法で年末調整の担当部署へ送付することになります。

データで送付する場合は、事前(データで提供を受ける予定月の2か月前まで)に税務署に「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を提出する必要がありますのでご注意ください。

4.終わりに

電子化、デジタル化などと聞くと、これまでの業務が大きく変わるのでかえって面倒と捉えられるかもしれませんが、まずはできることから始めればよいと思います。

年末調整の電子化も同様です。最初から完全な電子化ができない場合でも、まずは扶養控除申告書などの作成をソフトで対応してみるなど、一部の手続きを電子化するだけで、十分にメリットを受けられる可能性があります。

もちろん、完全に電子化できればそれに越したことはありませんが、最初の一歩を踏み出してみることは非常に重要ではないかと感じます。

※できる限りわかりやすくお伝えすることを優先し、あえて詳細な説明は省略しております。そのため、実際の取扱いなどは必ず事前に専門家にご確認くださいますようよろしくお願い致します。

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