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以前の記事では、2020年1月以降に、新型コロナの影響で土地の価格が下落した場合は、土地の相続税評価に何らかの減額調整がなされるかもしれないということをお伝えしました。
土地の相続税評価の際に使用する路線価は、毎年1月1日時点の価格であり、1月2日以降に何らかの原因で土地の価格が大幅に下落した場合は、1月1日時点の価格である路線価を使うと実態に即していない可能性が考えられるためです。
国税庁も7月に次のようにコメントしています。
「今後、国土交通省が発表する都道府県地価調査(7月1日時点の地価を例年9月頃に公開)の状況などにより、広範な地域で大幅な地価下落が確認された場合などには、納税者の皆様の申告の便宜を図る方法を幅広く検討いたします。」
9月30日に国土交通省から公表された都道府県地価調査(基準地価)を見る限り、多くの地点で土地の価格は下落しています。
ただ、少なくとも東京や神奈川の土地の価格は大幅に下落しているわけではないので、私見ですが、東京や神奈川の土地の相続税評価額を計算する際には、特別な減額調整はないものと考えています(※)
(※)今回の記事では当事務所の近辺の土地に絞っていることをご承知ください。また、今後別の調査などにより、土地の価格が大幅に下落したことが確認できた場合は、調整措置が入る可能性も考えられます。
さて、この都道府県地価調査ですが、対象となる全国の土地の7月1日時点における価格を調査したものです。一般的には、基準地価と呼ばれています。
似ているものに公示地価が挙げられますが、こちらは1月1日時点の価格ですので調査時点が異なります。その他にも細かな点で違いはありますが、土地の価格の算定方法は公示地価と基準地価でほぼ同じと言われています。
つまり、同じ地点の公示地価と基準地価を比べることで1月1日時点と7月1日時点の価格を比べることができます。
そのような場所をいくつか取り上げてみましたので、実際に見比べてみましょう。
表からわかるとおり、土地の価格は下落している場所が多いものの、下落幅はわずかなものにとどまっています。
路線価は1月1日時点の価格ですが、同じ1月1日時点の公示地価(≒時価)の80%を目安に算定されています。
土地の価格が上下することを見越して、そもそも保守的に公示地価(≒時価)から20%を割り引いて算定されています。
公示地価と基準地価の動きを見比べる限り、20%以上の下落は確認できませんので、少なくとも今回の結果で、東京や神奈川で特例的な減額調整が導入されることは考えづらいのではないでしょうか。
とはいえ、個別の事情により、路線価で計算した土地の相続税評価額よりも時価の方が低いという場合もあると思います。そのようなときは、個別に不動産鑑定評価を行い、路線価を使わずに不動産鑑定評価で相続税申告を行う方法もあります。
ただし、路線価によらない評価をするための特別な事情がない場合は、原則として鑑定評価は認められないのでご注意ください(※)
(※)単純に路線価よりも時価の方が低いという理由だけでは税務署から否認される恐れがありますし、否認されている事例もあります。
基準地価が公表されましたので、土地の相続税評価への影響として考えられることを速報的にお伝えさせていただきました。
令和2年12月と令和3年1月に新たな情報が公表されました。(続報)とある次のリンク先の記事で内容をまとめていますので、よろしければご覧ください。
また、土地の相続税評価額の算定方法や土地の価格の種類などの関連記事もよろしければご覧ください。
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